こんにちは!
エステートセンター売買部です。
住宅の買い換えで売却を先に進めるケースでは、売却する物件に引き渡し猶予を付ける場合があります。
通常、物件の引き渡しは売却金の決済と同時に行うものですが、引き渡し猶予を付けることで、物件の引き渡しを遅らせることができるのです。
今回は、この引き渡し猶予について、概要や設定される猶予期間、引き渡し猶予を付ける場合の買い替えの流れや知っておきたい売主のリスクなどを解説します。
住宅の買い替えにおける引き渡し猶予とは?
不動産の売買では、売買代金の支払いと同時に登記手続きと物件の引き渡しが行われます。しかし、代金支払い後に一定期間、物件の引き渡しを遅らせるのが「引き渡し猶予」です。
旧住居の売却を先に進める「売却先行型」での買い替えや、新住居の購入と旧住居の売却がほぼ同時だった場合には、売却時点でまだ引っ越し先が決まっていなかったり、引っ越し準備ができていなかったりする可能性があります。このような場合に、新居の購入や引っ越しの準備を行うため、売却物件に引き渡し猶予を設けるのです。
引き渡し猶予は、マイホームの住み替えを行う際に売主からの希望で設定されることが多く、引き渡し猶予の細かい条件などは買主・売主の合意によって取り決め、不動産売買契約書に「引き渡し猶予特約」を盛り込みます。
猶予期間は売主・買主で自由に決められますが、3~10日程度で設定することが多いでしょう。
引き渡し猶予特約を付けて住宅の買い替えをする流れ
引き渡し猶予を設けた物件の買い換えの流れは以下のようになります。
①売却活動開始
「引き渡し猶予特約」を付けて売却活動を開始します。
引き渡し猶予は、買主にとっては「買ってもすぐに入居ができない不利な条件」であるため、売却の際には明示しておく必要があります。
②売買契約締結
売主は新住居の購入について不動産売買契約を結び、手付金を支払います。
それとは別に旧住居の売却について不動産売買契約を結び、買主から手付金を受け取り、その際、引き渡し猶予特約の条件など詳細を定め、不動産売買契約書と重要事項説明書に記載します。
③残代金決済と新住居の引き渡し
新居の残代金決済を行い、同時に所有権移転登記手続きと引き渡しを受けます。
旧住居の残代金についても決済を受け、抵当権抹消や所有権移転登記手続きを行いますが、旧住居の引き渡しについては引き渡し猶予特約に基づいて後日となります。
買主の入居はまだですが、この時点ですでに物件の所有権は買主に移っているので、物件の取り扱いには注意が必要です。
④旧住居の引き渡し
新住居への入居を済ませ、引き渡し猶予特約で定めた日数経過後、買主に旧住居の引き渡しを行います。
買い替えで引き渡し猶予を付けるリスクは?
引き渡し猶予は、特に売り先行で買い替えを進める売主にとってありがたい特約です。しかし、残代金決済から引き渡しまでの猶予期間については、売主が引き続き管理責任を負うため、注意が必要です。
たとえば猶予期間の電気代・ガス代・水道代や、固定資産税の負担、買主が旧居の契約を延長した場合の家賃負担などが例として挙げられます。また、引き渡し猶予期間中に生じた設備の不具合や、地震などの自然災害による損傷・倒壊などについても、売り主が修繕などの責任を負います。修繕できず契約内容に応じた引き渡しができない場合は、ペナルティなしで契約解除となってしまいます。
引き渡し猶予の期間を長く設定するほど、このようなトラブルが起こる可能性が高くなってしまいますので、引き渡し猶予特約を設定する場合は、このようなリスクも念頭に置いておく必要があります。また、細かい条件やトラブルがあった際の対応などは不動産売買契約書と重要事項説明書にも必ず記載し、契約時に確認しましょう。
まとめ
♦住宅の買い替えにおける引き渡し猶予とは
物件の引き渡し猶予とは、通常、代金支払いと同時に行われる物件の引き渡しについて、引き渡し猶予特約を設けて一定期間遅らせることです。猶予期間は売主と買主で話し合って決め、3~10日程度が一般的です。マイホームの買い換えで売却先行で進めている場合に、売主の希望で設定されることが多いです。
♦引き渡し猶予特約をつけて買い替えする流れ
買い替えの流れは一般的な流れと同じですが、売却物件の引き渡しが引き渡し猶予特約に基づいて後日となります。引き渡し猶予特約の詳細は不動産売買契約書と重要事項説明書にも細かく記載され、契約締結時に確認されます。
♦売主にとっての引き渡し猶予のリスク
売却後、物件の所有権は買主に移りますが、引き渡しが完了するまでは物件の管理責任は売主にあります。猶予期間に発生する光熱費などのコスト、猶予期間分の固定資産税などは売主負担になるのが一般的です。また、猶予期間に住宅設備に不具合が発生する、地震などで損傷・倒壊が起こった場合、売り主が修繕などの責任を負います。あまり長い猶予期間を設けるのはトラブルの元となる可能性があるため注意しましょう。
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