不動産の購入には、数千万単位の大きな費用が必要なため、すべて自己資金で賄える人は限られます。そのため、家を購入・建築する際は住宅ローンを利用するのが一般的です。
しかし、土地のみの購入に住宅ローンは使えません。「後から家を建てるために土地を購入したいけれど、自己資金では賄えない」という場合には、「土地先行融資」や「つなぎ融資」を利用することができます。今回は、土地購入で融資を受ける際に、気をつけるべきポイントをお伝えします。
融資を利用して土地のみを買う時の注意点
土地先行融資やつなぎ融資を利用して土地を先に買う際に、注意すべきことを3つのポイントに分けて解説します。
①住宅ローン控除は受けられるのか
土地のみの購入は住宅ローン控除の適用外ですが、土地先行融資を利用して土地を購入し、後に住宅を建てる場合は、例外として控除を受けられるケースがあります。
例えば、土地を取得した日から2年以内に住宅ローンを使って住宅を新築した場合です。土地先行融資に、住宅の抵当権が設定されていることが前提となります。ただし、住宅と土地の名義人が同じ場合に限られる点に注意が必要です。別名義だと、住宅ローン控除は適用されません。
②自己資金は余裕をもたせて用意する
土地購入用の融資を利用する際には、利用手数料がかかります。土地先行融資では、ほかに土地の抵当権設定登記費用と、住宅に対する抵当権設定登記費用も必要です。自己資金は、こうした諸費用も念頭に置いて準備することが大切です。ギリギリだと、せっかくのマイホーム計画が頓挫するリスクがあります。
前回の記事でも触れたように、返済についても注意が必要です。住宅ローンが実行されるまでの間、つなぎ融資は利息のみの返済ですが、土地先行融資の場合は、土地を購入した段階から元本と利息の返済が始まります。返済に無理が生じないよう、しっかりと資金計画を立てるようにしてください。
③土地購入と住宅の設計は並行して進める
土地に対するローンは、通常の住宅ローンよりも金利が高い傾向にあります。住宅ローンは0.5%前後ですが、つなぎ融資は無担保で融資するため、金利が2.5~3%程度と割高です。つなぎ融資では、住宅ローンの融資が実行されるまでは利息の返済だけですが、高い金利を負担することに変わりはありません。そのため少しでも金利負担を減らせるよう、土地を購入する段階からある程度住宅のプランを固め、つなぎ融資を受ける期間を短縮できるようにしておくと良いでしょう。
まとめ
将来的に家を建てるためであっても、土地だけの購入で住宅ローンを受けることはできません。そのため、土地のみ先に購入する場合は、土地先行融資やつなぎ融資を利用することになります。ただし、どちらの融資も取得した土地に後から住宅を建てることが前提。申し込み時点で、住宅のプランを持っていなければなりません。
土地先行融資とつなぎ融資は、返済の方法が大きく異なります。
土地先行融資は2本立てのローンのようなもので、土地と住宅、それぞれのローンを返済していくイメージです。つなぎ融資は、住宅ローンの融資が実行されるまでの「つなぎ」ですので、まずは月々利息のみを返済し、住宅ローンの実行段階で、融資を完済する流れです。
いずれの融資も、それぞれメリットとデメリットがあります。特徴をしっかり理解した上で、無理のない返済計画が立てられる方法を検討してください。