転勤が決まったら、持ち家をどうすれば良いのか?前回のコラムでは、「売却する」ケースについて紹介しました。
今回は、「賃貸に出す」場合の注意点を解説していきます。
持ち家を賃貸に出す選択基準とメリット・デメリット
まず、賃貸を選択肢とする場合、「戻る予定が決まっている」もしくは「戻ってこないといけない可能性が高い」ということが大前提となります。その上で、単身赴任ではなく家族全員で転居し、収益を上げたいというケースが多いです。
また、売却しても売却額で住宅ローンの残債をまかなうことができず持ち出しが発生する場合や、賃貸で高い収益性が見込める物件の場合でも検討されます。賃貸に出して収益を得るということは、個人事業者として『ビジネスを始める』ということを意味します。税金や修繕費が発生しますので、手取りが予想よりも減ってしまうことは多いです。見積もりを取り、掛かる費用について十分調査しなければなりません。
また、借地借家法で借主が保護されているため、普通借家契約の場合は自分たちが元の家に戻りたいと思っても、入居者に退去してもらうことはできません。
住宅ローンが残っていると、賃貸に出せないこともあります
住宅ローンは家族の居住を条件としていることが多く、そもそも契約上、住宅ローンの残債がある状態で賃貸に出すことが禁じられていたりします。たとえ、賃貸に出すことが出来る場合でも、「転勤の場合に限る」などといった条件付きの場合もあります。
まずは住宅ローンの契約内容がどうなっているか、金融機関に確認しましょう。
賃貸にかかる費用とは?
■修繕
物件を探している人に気に入ってもらえるよう、室内や外観などのリフォームが必要な場合があります。ある程度の修繕費用がかかるということは覚えておいてください。設備は貸主のものなので、エアコンや給湯器の故障などで修理を要する場合も貸主の負担となります。
また、基本的に自然損耗・経年劣化は貸主負担となります。借主が退去後、次に貸しに出すときはクロス貼替費用などが再度必要になります。他にも、家賃の集金や借主との交渉を任せるための費用を、数パーセント管理会社に預託するケースもあります。
■税金
固定資産税はそのまま継続的に掛かります。併せて、毎月の家賃収入は不動産所得となりますので、確定申告が必要となります。賃貸で掛かった費用は必要経費として計上できるものもありますので、しっかり把握しておくことが重要です。
住宅ローン減税は適用外
住宅ローン減税が適用されるのは、実際の居住期間のみとなります。転勤などで住んでいなかった期間には控除の適用外となります。なお、元の家に戻ってきた時に再適用の手続きをすれば、残りのローン控除期間を利用することが可能です。
賃貸の契約形態
賃貸の契約形態には、「普通借家契約」と「定期借家契約」の2種類があります。
普通借家契約は、期間に定めのない賃貸借契約です。借主が希望すれば契約は更新されるため、長く住み続けることが可能です。 貸主からの一方的な都合による退去はできません。
定期借家契約は、契約期間を自由に決められ、契約で定めた期間が満了することにより、確定的に賃貸借契約が終了します。2年後に戻ってくることが決まっていたり、赴任期間の定めがある場合など、定期借家契約がオススメです。しかし、定期借家契約では、相場より2割ほど安い家賃でしか貸せないことや、法人契約の場合に定期借家の物件は契約不可というところが多く、借り手が見つかりにくいというデメリットがあります。
契約時にどちらかに決める必要があり、契約後には変更できませんので注意が必要です。
持ち家を空き家にしておくのはデメリットが多い
「いつか戻ってくる予定だから・・」「自分の家を他人に貸したくない」などの理由から、空き家にしておきたいという人もいると思います。
しかし、住宅ローンが残っている方は支払いが続きますし、ローン控除も適用されなくなるため、金銭的に余裕がある方にしか向きません。併せて誰も居住しなくなると住宅ローンの契約違反となるので、ローンを借りている金融機関への相談も必要になります。
まとめ
相場の面で売却価格と貸出価格を比べると、売却のほうが相場に左右され、貸出価格は比較的一定で景気に左右されにくいという傾向があります。
そうはいっても、売買と賃貸のどちらが良いか一概には言えません。
勤務先の制度などを確認したり、自分の今後のライフプランを想像しながら総合的に判断をするのが良いでしょう。
もっと詳しく聞きたい方や、不動産業者を探しているという方は、ぜひエステートセンター売買部までご相談ください。