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住宅ローン返済中の家は賃貸にできる?手順や注意点を解説!

住宅ローン返済中に、転勤や実家の親の介護で自宅を長期間空けなければならなくなったら・・。ローン返済や家の管理の問題から、多くの人は賃貸に出したいと考えるのではないでしょうか。
しかし、住宅ローンは「本人やその家族が住むための家」であることが適用条件のため、契約上、賃貸に出すことはできません。それでもローンの借り換えや一定の条件を満たせば、残債があっても賃貸にすることが可能です。今回は、住宅ローン返済中の持ち家を賃貸に出す場合の手順や注意点について解説します。

原則として住宅ローン返済中は自宅を賃貸に出せない

住宅ローンが残っている持ち家は、そのまま賃貸に転用することはできません。なぜなら、住宅ローンが低金利かつ長期返済期間が認められているのは、「自己居住用」を条件としている融資だから。自分が住む家ならば、滞納や未払いといった事態が起こりにくいからです。

もし住宅ローンを融資した金融機関に無断で他人に貸したことがバレると、契約違反となり、ローンの一括返済を求められるケースもあります。ただし、必要な手続きを踏めば、住宅ローンが残っている住宅を賃貸に出すことが可能です。

その方法の一つが賃貸住宅専用のローンに切り替える方法。また金融機関により異なりますが、転勤や親の介護など、ローンを組んだ当初は予測できなかった「やむを得ない事情」が認められれば、住宅ローンを継続しながら賃貸住宅として活用できることもあります。

住宅ローンが残っていても賃貸に出せるケースとは

自宅を賃貸に出すには、大きく分けて2つの方法があります。

一つは、本人や家族が住み続けながら、自宅の一部を賃貸に出すもの。もうひとつは、自宅を丸ごと賃貸に出す方法です。
このような場合、住宅ローンを返済していくにはどうすればいいのでしょうか。

1.最初から賃貸併用住宅として契約している場合

自宅の一部を賃貸にする賃貸併用住は、自宅と賃貸をフロアごとに分けたり、壁によって左右を分割して住み分ける住宅のこと。いずれの設計でも自己居住用の床面積の割合が50%以上であれば、住宅ローンを組むことができます。アパートを建築する際のローンに比べ、住宅ローンは金利が安いため、返済額も低く抑えることができます。さらに、自宅部分は住宅ローン控除も適用されます。たとえば全体の延べ床面積の60%が自宅の場合、ローン総額の60%が住宅ローン控除の対象となります。

2.転勤などやむを得ない事情がある場合

自己居住できなくなる理由に、急な転勤や実家で暮らす親の介護など「やむを得ない事情」があります。
住宅ローンを組んだ時点では、こうした事態はなかなか想定できないため、金融機関に相談すれば賃貸住宅への転用を認められることがあります。ただし、対応は金融機関によって異なります。住宅以外への転用を一切認めない金融機関もあるため、賃貸に出した場合の住宅ローンの扱いがどうなるのか、事前に金銭消費賃借契約書(ローン契約書)を確認しておきましょう。

例えば契約書に「借入後に、住宅ローンの融資対象物件を賃貸物件とする場合、または譲渡する場合には、あらかじめ銀行の承諾を得るものとする」と記載されていれば、この一文をよりどころとして、交渉に臨むことになります。

3.融資条件の変更を前提にする場合

住宅ローンから賃貸住宅向けのローンに借り換えることで、自宅を賃貸に出すことができます。ただし、賃貸住宅向けのローンは住宅ローンに比べ、金利が高いのが一般的。住宅ローン控除も適用されません。負担が大きくなる一方で、家賃収入をローン返済に充てることができます。ローンの借り換え時には、返済額のアップ分と新たな収入とのバランスをよく比較検討しましょう。

住宅ローンが残っている家を賃貸に出す際の注意点

では、まだ住宅ローンが残っている物件を、やむを得ない事情で賃貸に出す場合の注意点をみていきましょう。

1.金融機関によって対応が異なる

自宅を賃貸に出す場合、住宅ローンの融資先が民間金融機関なのか住宅金融支援機構なのかによって対応が異なります。

〈借入先が民間金融機関の場合〉
民間の金融機関から住宅ローンの融資を受けていた方は、賃貸住宅向けローンへ切り替えるのが一般的です。

ただし、転勤や転職、介護など、借り入れ当初は予測できなかった事情で賃貸に出す理由の場合は、借り換えなしに引き続き住宅ローンの返済を認められることがあります。
とはいえ、中には一切認めていない金融機関もあるので注意が必要です。

〈借入先が住宅金融支援機構の場合〉
住宅金融支援機構から融資を受けている方は、基本的には民間金融機関の賃貸住宅向けローンへの借り換えが必要です。先に挙げたようなやむを得ない事情により、家族全員が一時的に融資住宅に居住できない場合は、一定の条件を満たせば、借り換えをせずに継続して返済することも可能です。その条件は、住宅金融支援機構に事前に相談した上で、期間中に融資住宅を管理する者を選任し、融資住宅留守管理承認申請書の提出すること。なお、「一時的」としている留守管理期間は、3年以内です。期間内に自宅に戻れる見通しが立たない場合は認められません。

2.手数料が発生することがある

賃貸住宅向けローンに切り替えるには、各種手数料がかかるほか、印紙税や抵当権の設定費用が発生する場合もあります。

3.住宅ローン控除は受けられない

住宅ローン控除は、ローン開始から10年間控除を受けることができます。ですが住宅ローン控除は、自己居住用の住宅であることが条件。賃貸住宅にすると条件を満たさないため、その間は控除を受けることができません。控除期間の10年は延長されることがなく、居住していない期間の控除の先送りもできません。例えば、家族全員が10年のうち2年間転居していた場合、控除が受けられるのは残り8年のみとなります。

4.管理の手間や費用が発生する

誰も住まない期間に賃貸に出すのは、一見合理的ですが、手間や費用がかかることを忘れてはいけません。入居者の募集から賃貸借契約の締結、建物や設備のメンテナンスや修理、入居中のトラブルに退去時の対応まで、賃貸には運用や管理にさまざまな手間がかかります。知識とノウハウがなければ運用は難しいため、普通は不動産会社に依頼します。
また、家族で遠方に引っ越すための賃貸ですから、自分でクレームなどに対応するのも不可能。そのため、管理は管理会社に委託するのが一般的です。賃貸にすると家賃収入は見込めますが、それだけ費用が発生することも併せて頭に入れておきましょう。

5.正当な事由なく入居者を退去させられない

賃貸に出す場合の契約には、「普通借家契約」と「定期借家契約」があります。賃貸契約である普通借家契約は契約期間を2年とするのが一般的ですが、この契約の場合は、オーナーが再び戻って住みたいと思っても、入居者に退去の意思がない限りは明け渡してもらうことはできません。借主保護のため、入居者が希望する限り契約は更新され、住み続けることができるのです。オーナーの意向で更新を拒否したり、解約できるのは、何らかの「正当な事由」がある場合だけ。例えばオーナーが「自宅に戻って住みたいから」といった理由は、「正当な事由」として認められません。一方、「定期借家契約」は、契約期間を自由に決めることができ、かつ契約の更新はありません。解約をする場合は、書面で契約終了の1年から6カ月前までに終了の通知をすれば、契約期間の終了時に確実に明け渡してもらえます。

そのため転勤の期間が決まっているなど、一定期間が経てば自宅に戻れる場合には、定期借家契約が適しています。ただし、「期間限定」であるがゆえに入居者は見つかりにくく、その分家賃が相場より低くなる傾向にあります。

使わない家を業者買取する方法も

家を空けるのが一定期間であれば賃貸でも良いですが、将来戻る可能性がほとんどないのであれば、思い切って売却するという手もあります。売却に関わる作業は、ある程度は仲介の不動産会社に任せられますが、すべてという訳にはいきません。売買契約の締結、住宅ローンの完済、抵当権の抹消手続きなどで、何度か自宅周辺に足を運ぶ必要があります。

転居を急ぐ場合は仕方ありませんが、転居先からの移動や有休休暇の取得などの労力を考えれば、転居前に売却した方が負担を軽減できます。確実に転居までに売却を済ませたいのであれば、買取会社による「買取」という方法が適しています。

ポイント①いくらで売れるか事前に確認できる

買取会社に相談をすると、数日以内に訪問調査を実施し、1週間程度で売却価格を査定してくれます。物件の買い手を探してもらう「仲介」で売却する場合、査定価格はあくまで売り出し価格の指標。必ずしもその価格で売却できるとは限りません。しかし「買取」は不動産会社に家を買い取ってもらう方法なので、提示された額は実際の売却価格。自宅がいくらで売れるのかが、早い段階で分かります。

ポイント②最短1カ月以内の売却も可能

買取会社が提示した価格に納得できれば、すぐに売買契約に進みます。
契約締結後、数日で指定の口座に現金が振り込まるので、早ければ相談から1カ月以内に売却に関することが可能です。

ポイント③不動産の仲介手数料がかからない

「買取」は買取会社への直接売却のため、「仲介」のように、売主と買主の間を仲介する不動産会社は存在せず、手数料は一切かかりません。

まとめ

住宅ローンを返済中の住宅は、原則として賃貸に出すことはできません。
ただし自宅を賃貸に出す理由が、転勤や介護などやむを得ない事情であれば、賃貸が可能となるケースがあります。

その場合は賃貸住宅向けローンに借り換えることになりますが、賃貸住宅向けローンは、「金利が高くなる」「住宅ローン控除が使えない」といったデメリットがありますので、注意が必要です。ローンの借入先が住宅金融支援機構の場合は、やむを得ない事情と承認されると、3年までの期間限定で住宅ローンの返済を認めてもらえることがあります。

金融機関によって対応が異なりますので、必ず事前に相談してみてください。自宅に戻れる目途が立たない場合は、売却を視野に入れた方がいいでしょう。売却までに時間がない場合は、買取会社に自宅を売却する方法が適しています。

想定外の事情で家を空けなければいけない場合、選択肢は大きく分けて「賃貸に出す」「売却する」「空き家のまま」の3つ。今後のライフプランを考え、状況に適した方法を選択してください。

営業担当:清水 崇
エステートセンター本店不動産売買部門

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